京都新聞コラム10月11日号
『産んだ責任・育てる義務』
記事の詳細を入力してく10月4日の新聞を見てびっくりしました。滋賀会館にはたくさんの思い出があります。初めての音楽教室の発表会・石山高校音楽科定期演奏会・びわこ国体記念オペラの練習・・たくさんの思い出があるのは私だけではないでしょうね。文化施設が生まれると、そこに人が集い・人が育ちます。ソフトが蓄積されます。それは目には見えませんが、とても大切な財産です。 ここ数年、滋賀県内の文化ホールは指定管理者になるなど状況が変わりました。そこで育った「ひと」「ソフト」はどこへ行ったのでしょう?「代替のハード建築」が文化行政ではないでしょう。滋賀会館で生まれ育った「ひと・ソフト」は滋賀県の大切な財産だということを忘れてはなりません。私は自分が栗東に「ブラームスホール」を持って子育てと一緒だと実感しました。「産んだ責任・育てる義務」私は三人の子供がいます。四人目が「ブラームスホール」です。一番手が係り、お金が係ります。終わりのない子育てがこのホール運営です。 皆さんは滋賀会館にどんな思い出がありますか?
京都新聞コラム11月1日号
先月末から、草津市内の小学校で『出前ワークショップ「声を出してみよう!」』を開催しています。
出前事業は体育館で実施します。
まず、校歌を歌うことからスタートします。
参加の5・6年生は照れもあってか、小さな声しか出ません。
「大きな声で歌ったら気持ちいいよ!まず思いっきり大きな声を出してみましょう」
「アーー」 「もっと大きく」
「今度は柔軟体操です」「ピアノに合わせて歩いてみましょう」
「今度はスキップです」
音楽の時間とは思えないような内容です。
体全体で声をだすことを体験した後、もう一度、校歌を歌ってみると・・・あら不思議。
すごい迫力の力強い歌声になっています。
たった30分の魔法です。
音楽の原点は「歌うこと」です。上手に歌うことより、歌うことを楽しんで欲しいと願っています。
声を出すこと・大きな声で歌うこと。
それで元気になった人々がまちを元気にしていく。
『音楽でまちを元気に!』私の願いであります。
京都新聞コラム1月10日号
「歌うことは音楽の原点です」 昨年の紅白歌合戦は「歌力・歌の絆」がテーマでしたね。 音楽の原点は「歌うこと」です。上手でなくても良い、いい声でなくてもいいのです。自分の思いを歌に込めて歌えば。 「歌は世に連れ、世は歌に連れ」・・・その時代の歌を聴くと、一気にタイムスリップ。 その時の思い出が蘇ります。 幼かった頃、亡き父はSP盤のレコードで 童謡を聴かせてくれました。 石山高校音楽科の受験曲は「追憶」でした。 「星影さやかに~♪」あの時の緊張感が思い出されます。 そして、高校の定期演奏会で初めてのソロ演奏はイタリア歌曲でした。 大学受験、オペラ研修生オーディション・・・と私の節目には必ず「歌」がありました。 主宰するNPO法人の運営やプロデュースの仕事に追われ、歌のステージから暫く遠ざかっていますが、 地道に歌うことを再開することにしました。 「歌力」を一人でも多くの方に伝えていきます。う。
京都新聞コラム1月17日号
『バリアフリーな音楽会』
1月9日びわ湖ホール大ホールで「ケイリン福祉コンサート~ニューイヤーコンサート」を開催しました。
このコンサートには、障害を持っておられる方々を招待させていただきました。
私は、主催者として受付で皆様をお迎えしておりました。
開演直前のことです。
杖をつきながら、ゆっくりと歩いて来られる親子の姿を見つけて駆け寄り、
「間もなく開演致しますので、どうぞお急ぎ下さい」と声を掛けました。
すると、付き添いのお父さんが「息子はこれが精一杯なんです」と一言。
私は返す言葉を失いました。
「失礼致しました」と言うのがやっとのことでした。そして、恥ずかしさで一杯でした。
障害を持った方々への上っ面な理解を反省したのです。
様々な段差を取り除いて、バリアフリーな社会の実現が進められています。
ハードのバリアフリーだけでなく、ソフトのバリアフリーも大切ですね。
その為にも、「音楽」が少しででも役に立つことを願っています。
京都新聞コラム1月31日号
『童謡を伝えたい』
「♪雪やコンコン、あられやコンコン♪」
冬本番、雪が降って寒い日。童謡の世界は、懐かしい日本の原風景が描かれています。
「童謡は環境学習に繋がりますね」と、お客様から言われたことがあります。
正にその通りです。どんどん無くなりつつある大切な風景・心を次世代の子供たちに伝えていくことが必要です。
私は、コンサートのプログラムに出来るだけ「日本の歌・童謡」を入れるようにしてきました。
会場のお客様に「お子様やお孫さんと一緒に歌って下さい」とお願いしています。
大人が歌っていると、子供はすぐ覚えて一緒に歌います。
歌詞の意味が分からなくても大丈夫です。
童謡は「親子・家族の愛情」「母への思い」「豊かな自然」がベースとなっています。
殺伐とした、残酷な事件が多いこの頃。
何か大切なことを忘れてしまっています。
難しいことを言わなくても、歌の中に答えを見つけられるのではないでしょうか。さあ、一緒に歌いましょう。
京都新聞コラム11月15日号
『恩師からのうれしい電話』
先日、高校時代の恩師T先生より電話がありました。
長い間入院していて今日退院してきたが、自宅のピアノの調子が悪いので、調律師を紹介して欲しい」とのこと。
しばらく触っていないピアノに向き合おうと思っていただいたことがを嬉しく思いました。
T先生とは数年前、吹奏楽の指導のことでご相談をさせていただいたことがあります。体を壊されて、しばらく現場からは離れられていたとのことでした。
打ち合わせのためにお目にかかり、一緒に食事をしながら、昔話に花を咲かせました。そして、もう一度、若い世代の指導に意欲を持っていただいたのでした。
私が石山高校音楽科の頃の恩師は専属の先生が3人でした。私を声楽家に導いて下さったM先生、いつも素敵で憧れだったA先生。残念ながら、お二人ともお亡くなりになっています。
今の音楽科は先生方の頑張りがあったからこそです。そして、来年、音楽科設立40周年を迎えます。
京都新聞コラム11月29日号
「びわ湖ホールでオペラを」
先日びわ湖ホールでオペラを観て来ました。
演目はツェムリンスキー作曲『こびと~王女様の誕生日』。新芸術監督である沼尻竜典さんのオペラセレクション第一弾の作品です。
日本発の舞台上演作品ということもあり、期待に胸を膨らませ、開演を待ちました。
客席の明かりが落ち指揮者が登場するのかと思いきや、舞台のカーテンが開き、一人の演者が登場。
原作者のオスカー・ワイルドの話から始まった その後、沼尻さんが登場し、ピアノを弾きながらのプレトークのコーナーとなる。
ちょっと拍子抜けしたが、これも演出の一つと納得させる。そして、休憩後、全一幕のオペラが上演されたのです。
音楽制作に携わる立場としては、新作や芸術的に価値の高い作品を観ることに義務感を持って行きます。
しかし、音楽大好き・オペラ大好きの大衆の一人としては、娯楽的要素の高い・そして良く知っている作品で楽しみたいことが本音でもあります。
世界に誇るびわ湖ホールで是非オペラをご覧あれ!
京都新聞コラム3月13日号
湖国を愛したオペラ歌手」
オペラ歌手山元法子さんが亡くなられたのは2000年3月。もう8年になります。
山元さんは、オペラ制作団体「比良想舎」を立ち上げ、近江や琵琶湖を題材にしたオペラを数多く制作・上演されました。
「湖荒れ」「いさだになった娘」などなど・・・
法子さんには、随分可愛がっていただき、子供を連れてご自宅にも遊びに伺ったこともありました。
山元さんは4人のお子様を育てられており、
「あんたは私より一人少ないやろ。大丈夫頑張りや。大変やけど、歌い続けなあかんで!」
と励ましていただきました。夜遅くに近くのスーパーでも時々お目にかかりました。
法子さんがオペラを制作される熱意は本当に凄いものでした。
癌の手術後、なんと1ヶ月でオペラ公演のため渡欧されたことも。
「生きてる限り歌い続けるんや」
この言葉が忘れられません
法子さんは、設立にかかわったびわ湖ホールの舞台に歌い手として立つことが叶わないまま旅立たれました。
湖国にオペラを
滋賀の人達が自ら創るオペラが法子さんの夢でした